シップバック
昨今、海外市場に挑戦しようという声が大きいですが、輸出でほとんど言及されないことがあります。輸出した貨物を日本に戻さなけばならないことがある(シップバック)、はそのひとつです
貨物が戻ってくる理由・戻す理由
貸したものである
海外の製造委託先や販売代理店に送った見本を貸した場合は返却ということがあります
日本で再加工をするため
弊社は繊維製品(反物)を輸出していますが、客先から生地の色合いが希望と合っていないので染色の再加工を求められることがたまにあります。
日本で修理をするため
機械系では修理のために日本に物品を戻すことがあります
輸入関税の減免税措置があるが
再輸入免税
一度日本から輸出された商品がその性質や形を変えずに日本に戻ってきた場合に関税がかからないという制度です。弊社の事例ではありませんがある会社さんが輸出先を間違えたことがあり、その貨物を日本に戻すということがありました。このような場合、日本に戻しただけの貨物(日本製)に輸入関税がかかるのは理不尽ではあります。
利用するためのハードルは高い
このような関税減免税制度はいくつかありますが、はっきり言って利用するハードルは高いです(そもそも法律が古い)。輸出した物品をそのまま日本に戻すだけでも手続き的に面倒ではあります。
消費税はかかる
基本的には輸入申告に輸入関税・輸入消費税はかかります。関税の減免税を受けられない場合は輸入申告額を仕入原価にして関税を少しでも下げるという方策はあります。ただし関税免税になった場合でも消費税は免税になりません。
免税が認められなかった弊社事例
HSコード違い
国際宅配サービス(UPS)で反物を送りましたが、その反物を日本に戻さなければならないことがありました。関税免税の手続きをするつもりでしたが、輸出許可書と輸入許可書にあったHSコードが違っていました。輸出時のUPSのミスオペレーティングですがどうしようもありませんでした。
輸出時の数量と合わない
戻す貨物は輸出した状態の荷姿と中身が一致していなければなりません。カートン梱包された反物をカナダから戻した時は一部カートンが開封されて反物がなかったので(問題ない物品ということで戻す必要がなかったのでしょう)免税対象になりませんでした。
物品に輸入側での独自追加加工などが施されている
輸入国側での独自の追加加工がされてた物品は”モノ”が違うことになり、再輸入とは認められません。弊社の場合、繊維生地反物の少量(数メートル)カットされていたことがあり、カットも加工にあたるとされて免税対象になりませんでした。
まとめ
関税消費税だけでなくシップバックはその手続きや手配がとても面倒なことになりがちなのです。ただ実務的な煩わしさは実際にその事象に直面しないとわかりませんのでせめて関税関係の仕組みだけでも押さえていただきたいです。