
インコタームズ
まずロイターのニュース(youtube)にも取り上げられた衝撃的な映像をご覧ください。
極端な例ではありますが、こういったトラブルには対処するべく指針が必要です。それがインコタームズと呼ばれる規則です。
インコタームズ
歴史とその意義
インコタームズは1936年に国際商工会議所が制定した、貿易取引条件とその解釈に関する規則です。貿易におけるトラブルの原因となる取引条件の解釈の違いや齟齬の回避を目的に制定されました。売り手(輸出者)と買い手(輸入者)の間で取引における「危険」とその「費用」の負担の区分を取り決めるものと考えてよいです。
危険負担と費用負担
先のニュースで考えてみます。商品は再度手配するしかありません。では輸出者が無償であらたにその商品を手配すべきでしょうか、輸入者があらたに用意される商品の代金を払うべきでしょうか。このような「商品製品が無事に」届かなかった時などの「危険」とその「費用」をどちらが担うのかをインコタームズによってはっきりさせます。
F.O.Bを基本に
インコタームズの基本規則をF.O.B(free on board)をまずみてみます。日本語に訳しますと「甲板上(に貨物をおいた時点)-on board – で (輸出者は責任から)開放 -free -」 です。
先の例ですと、貨物は貨物船上に載っているのでその貨物の「危険」と「費用」の負担は輸入者が負います。仮にこの商品が船に積まれる前の港湾倉庫などで災害や事故で損傷を受けた場合、その「危険」と「費用」は輸出者が負います。
具体的な「区分」
出荷元から港湾倉庫・空港ターミナル
FOBという規則では輸出者の負担は貨物が船もしくは飛行機に載るまでです。貨物の発送される工場からその輸送中、港湾倉庫・空港ターミナルに到着してから船・飛行機に積載されるまでの待機の間、そして商品の積載が完了するまでが一つの区分です。
海上輸送・航空輸送
貨物の船・飛行機への積載が完了し出港・離陸がされ、輸入国側の港湾・空港に到着するまでが一つの区分です。
輸入国のどこまでを考えるか
輸入国の港湾倉庫に到着した時点なのか、輸入者の指定する荷受け地や荷受け施設までなのかなどが一つの区分です
規則の力と限界
ほぼ法律
インコタームズ自体は国際商工会議所が制定した取引規則で何かしらの法的拘束力はありません。しかし貿易に関するトラブルの裁判例を見ましても「ほぼ法律」的な力を持って司法判断されています。歴史ある、ほぼ世界共通の規則であることもその背景になっていると考えられます。
お互いが理解していることが前提
それでもインコタームズは”規則”に過ぎず、その内容をしっかり理解していない不届き者も残念ながら存在します。それどころか大手商社でもしっかり理解していない人は珍しくありません。万が一の時に困らないためにも取引のお互いがきちんと理解している(おそらくそれは信頼できる取引先の条件にもなるかと思います)ことが大事です。
保険は重要
輸送中の事故などの「危険」に備えて海上保険を用意することが重要です。例えば一部の外国の港湾は設備が古いなどがあって日本と比べてコンテナの落下事故などが多いことがあり、そのような場合は「危険」「費用」負担を特に慎重に考え海上保険を考えるべきです。
まとめ
インコタームズに規定されるこの規則は11種類あり輸入者輸出者互いの立場により検討されそして互いの合意もと、取引契約に反映されなければなりません。
