貿易・海外取引に取り組みに役立つ情報一覽 「信用状決済」

目次

信用状決済

信用状は銀行を介して行う決済システムで歴史も古く、安定して利用できる仕組みです。

信用状とは

金融機関を介しての決済代行システム

信用状は金融機関を介して行う貿易決済で概ね下記の流れになります。

1輸入者・輸出者で信用状で決済することを合意する

2輸入者輸出者が各々の銀行をたてる

3”信用状”なる書類が輸入者から(銀行経由で)輸出者に発行される

4輸出者がそれをもとに貿易業務をすすめ輸出国側銀行から決済代金を受け取る

5輸入者は輸出者からの貿易書類と信用状をもとに輸入国銀行に決済代金を支払う

信用状を使う効果

信用状を利用すると輸出者はその貿易決済代金を銀行から受取り、輸入者は代金を銀行に支払います。遠隔である輸出者輸入者は「先方が払ってくれない」などの代金決済の不安から大幅に開放されます。

利用するには銀行に申請をする

輸出者輸入者とも信用状を利用したい旨を取引先銀行に申し込みます。銀行からすると輸出者輸入者に対する”貸付”になる案件なので審査などを経て利用が認められることになります。担保を依頼されることもあるかもしれません。

信用状を使う流れ

輸入者による信用状の作成

輸入者は信用状作成のルールにのっとって”信用状”という書類を作ります。銀行が決済を代行実行する書類と考えていいでしょう。貿易取引で何の物品を扱うのか決済額はいくらなのか細かい記述が求められます(テンプレート化されてはいます)。

輸出者は信用状を基に決済書類を作り銀行に提出する

輸入者(輸入側銀行)から輸出者あてに信用状が送られてます。その信用状にある、提出を要求されている書類を輸出者は用意し(つまり輸入者側の要求通りに輸出がなされたということを示していることになります)、その書類一式を輸出側銀行に提出します。書類に不備がなければ輸出側銀行は輸出者に貿易決済代金を支払います

輸入者に輸出者から書類が一式返送され輸入側銀行に決済代金を支払う

輸出側銀行から輸入側銀行を通じて輸出者からの書類一式がとどきます。この書類一式をもって輸入側銀行は輸入者に支払いを請求し、輸入者はそれに従い貿易代金を輸入側銀行に支払います。

メリットとデメリット

メリット

信用状は、いわば代金決済を銀行が立て替えるような仕組みなので輸出者としては決済代金の回収が確実で早いことが最大のメリットです。大手企業でも海外取引は信用状での決済でしか受け付けないところがあります、

デメリット

”信用状”という名称からくる誤解が多いのですが、この仕組みは輸出者輸入者が互いに支払い能力があるのを銀行が認めているというもので「ビジネス自体の信用」を担保しません。例えば不良品の発生や納期遅れなどのトラブルがあっても輸入者側は銀行が建て替えた支払い債務を負います。また大トラブルになって輸入者が頑として支払いを拒絶した場合、輸出者は銀行から受け取った(銀行が立て替えた)売上金を銀行に返却しなければなりません。また最近は信用状の利用は減少傾向にあるようで銀行でも知っている人が減っていて先のような事情を含む仕組みの詳細を知るには少々時間がかかると思われます。

有効な使い方

取引額がある程度ありかつ取引の経験回数がまだ少ない時はできるだけ信用状を利用すべきでしょう。また信用状の利用には輸出者輸入者ともに銀行に各種手数料を払わなくてはなりませんので、例えば輸出者としては少なくとも決済額が100万円以上でないと割に合わないと思います。

まとめ

信用状はその性質上、2024年現在でも書類を全て紙で用意して運用するのが主流です。書類作成やその準備にとても手間がかかります。利用にあたっては担当者への教育などしっかりした準備が必要です。

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